2009年2月1日日曜日

妙心寺展ヘユクコト


親方、山楽の龍虎図屏風がなにかとクローズアップされぎみだけど、
私の中ではコレがメーンだった・・・。
老梅図襖 狩野山雪筆 旧天祥院障壁画 4面 アメリカ・メトロポリタン美術館蔵



見事だった。

思いのほか小振りの襖だったけど、
これ以上大きかったらもう1時間必要になる。

衰えない老木の神秘にも近い生命力と
画師の血を分けたかの発色。
体を傾けても尚、奇怪に触手を伸ばす枝振りは
永らく梅木を愛でて来た日本人にこそ、
デザインではなく自然が作り出す真実として心を打つ。

決して、特有のデフォルメやイメージの究竟だけではない、
歳を負い次第にかたぶく老梅の、それでも香り強く花を咲かせる姿。
画師の目に映り心にのこった様が、
許される限りの画面いっぱいにそのまま描き出されている。


この老梅図の襖絵はアメリカのメトロポリタン美術館に
三井寺の書院を模した展示室でなかなかの待遇を受けている。
流出した名画を愛でる度に、天心 を思う事になる。

とりあえず、美術品の海外流出は私の中では全て彼の仕業となっているが、
特に近世京都の寺宝であれば、ほぼ奴の仕業と思って間違いない。
けれども、では、その時寺から持ち出される事がなく、
そのまま天祥院の壁を飾っていたのであれば、
いままで見て来た目を覆うような有様となった屏風や襖絵の様に、
ただ悲しき老木と成り果てていたのかもしれないし。

これでようやく山雪の大作を全部この目でみれたことになる。

3月末から5月に掛けて京博でもまた見れる。
この絵は京都で公開必須でしょう。
展示替えとなって、今回見れなかった、
山楽の厳子陵・虎渓三笑図屏風に併せてまいりましょう。






四季花鳥図 狩野元信筆 霊雲院方丈障壁画
豊干・寒山拾得図衝立 長谷川等伯筆
枯木猿猴図 長谷川等伯筆
龍虎図屏風 狩野山楽筆
老梅図襖 狩野山雪筆 旧天祥院障壁画 アメリカ・メトロポリタン美術館蔵
山水図襖 妙心寺大方丈障壁画のうち 狩野探幽筆