31日に参加する予定の「本棚をつくる」ワークショップ(トンカチ使うDIYではない)のため、持参する本を3〜4冊ほど選定する。
アドバイザーと、参加者が持ち寄った本をつかって、どのように本を並べていくか、
本を手にとってもらうための並べ方などについてのワークショップ。
なぜその本を選んだのか、なぜ人に奨めたいのか、具体的にその本のどこが良かったのか。蔵書の中から、わかってる相手に奨める本を選ぶのは簡単だが、不特定の人に手にとってもらうための奨め方は考えたことがなかった。
いざ、3冊選んだところで、改めて、「なぜ」を考えたら、結構難しかったので、予習をする。
3冊を解体してみて思うのは、これらの共通項は「没頭の病」だ。
永井氏は史実の流れの中、わき起こる疑問や事項への執着にたいして、徹底的に史料を這うようにして読み込み、その答えを姿露わにしていく。史料への没頭。
稔典先生は、カバへの執着を、研究者の没頭力で追い続ける。
そして、辞世の言葉は、死への没頭。未知なるものへの執着。生きる事への追求。
いずれも、著者が抱える「好きな物」に対する”重い病”だ。
■1冊目
『岩倉具視―言葉の皮を剥きながら』 永井路子著
・タイムリー
NHK大河『八重の桜』幕末から明治の日本が動き始める時代のキーパーソン。
・著者
鎌倉ゆかりの著者。独自の史料研究による歴史小説家。
鎌倉にゆかり深い時代小説を特徴的な視点(陰のキーパーソン視点)で描き出す、歴史の読み方。
・当著書について
幕末から明治の幕開けの中、岩倉具視が何を目的に、どのように動き、歴史を動かしていったか、「尊皇攘夷」「明治維新」といった、誰もが耳慣れたこの時代のキーワードが含む、真実や根底を洗い直しながら、岩倉が活きた時代をあぶりだしている。
半籐氏の『幕末史』と平行して読み進めたら、またおもしろかった。
■2冊目
『辞世のことば―生きかたの結晶』 赤瀬川源平監修
・絶版
人に薦める本を選ぶ場合、必ず入る本。
プロモーションの仕方で、もっとヒットするはずと信じている。
・著者の文章が好き。
美術関係の著書も多い。割と売れっ子だと思うが、当著作は「監修」なので、何処まで本人の手が入っているのかは不明。
・歴史に名を残す人物から、一般の人までを含め、没年順に、辞世にあたる言葉や文章を列挙し解説されている。
命が尽きようとする人のつむぐ言葉を、その人の人生と終焉を踏まえて読むとき、
花が咲き、力一杯に命を燃やす様な美しさを感じ、心が洗われる。
■3冊目
『カバに会う―日本全国河馬めぐり』坪内念典著
・著者
俳人、正岡子規の研究者
佛大教授
カバ好き。カバに関する物、置物などのコレクション。
・日本で飼育されているカバすべてを訪ね歩いた記録随筆集
各々のカバへ対する愛情も、研究者ならではのデータ力が垣間見える
・カバたちのそれぞれの生活や飼育環境、人気の状況など、ほのぼのしたり、切なくなったりと、読み終わると追っかけ行脚したくなる。
と、こんな感じだ。
書籍のプロが居ると思うと、うかつなことが言えない気がしてちょっと物怖じしてしまうな。
初めてのワークショップスタイルなので、楽しみ。