2008年1月18日金曜日

金刀比羅宮 書院の美−応挙・若冲・岸岱

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滝の前から離れられません。


 昨年芸大で公開された際に複製でしか見れなかった「上段之間 瀑布古松図」
応挙の潔いくらいにまっすぐに落ちる滝と滝壷でうねる水の表現は何が何でも実
物を見なくてはならないとおもってた。




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 特別展示:その1
 通常は表書院の円山応挙の障壁画はガラス越しにしかご覧いただけませんが、
同展では 各室内に入ってご覧いただけます。
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そこまで言われたら当然瀑布古松図も本物が書院の中でみれるのであろう、行か
ないわけには行かない。こんぴらさん。

 ゆるいアップライトの中、もまれた水面が湧き上がるように盛り上がって「ド
ロリ」と表現するしか思い浮かばないそれは、やむことがない水流のスピードを
感じてる。滝つぼで激しく次々繰り返されてる問答みたいでその語りから離れる
ことができなくなる。心を奪われるっていうのは、その瞬間すべてを逃せなくな
るこの感じなのかも。一枚の絵なのに。スクリーンアウトしてく土波の表現がま
すます滝壷へ視線を集中させて、何度もたどっては滝壷にもまれに行ってしまう
。椅子、並べておいてほしかった。大河ドラマだ。
つま先ホッカイロ必須。こんな優れものが世の中にあるとは!

前後するが・・・
「七賢の間」は前回もガラス越しながら間近で見たけど、落書きの後がやはり痛
々しい。「今からおうよそ100年程前、明治時代に書院に暴漢が押し入り・・・」
警備のにーさんがリピート再生のテープみたいに繰り返して説明してくださる。
賢者の顔に塗りたくられた墨を修正を重ねて落としたのがわかる。「これ以上手
を加えると生地が傷んで色あせも起こるので・・・」と染み抜きを頼んだクリー
ニング屋に詫びられる気持ちだ。
 年末に京博で見た蕭白の「樹下人物図襖」にも賢人の顔に、恐らく故意と思わ
れる剥ぎ方が見て取れた。あと、「あほ」と読み取れそうな引っ掻き傷・・・。
おとーさんにしかられた小坊主が暗がりに八つ当たりでもしたのだろうか。無下
に壁から剥され棄てられこそしなかったものの、お蔵でひっそり気が付かれるの
を待っていたのだろう、貼り付けられた修正の手がちょっと切ないが、見つけて
もらえてよかったよね。
 子供心にできれば消してしまいたいともう気持ちもわからなくない。奥の和室
があの襖だったらとおもうと。ただ、200年以上も人に評価され続けた絵師が描き
出した画には、たとえ画鑑賞の心を持たなくともその目や顔にシンパシーを感じ
る人がいるんだろうな。
 やはり芸大で釘付けになったのが、思いもよらぬ岸岱「群蝶図」。どこからか
狂ったように集まり群れてどこかへ向う。昔は蛾も蝶といったそうですが、それ
すら美しい。この画を使ったグッズ、いまいち切り取りどころのセンスが残念で
ございました。涙。
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「群蝶図」


 若冲同様描き込む人なんだろう「水辺柳樹白鷺図」の柳の葉の重厚なこと。壁
に向う画家を前にした人はさぞ心配したろう。と思いきや、この部屋の障壁画は
岸岱が手掛ける以前は若冲が描いた柳樹白鷺だったといわれているそう。なるほ
ど、その地脈を否応もなく汲んでいる故なんだろうか。狂ったように触手を伸ば
し室内を覆ったであろう若冲の柳が是非見たかった。200年、失われているものが
多くて当然か。
 今までにも数回、ついついやってしまって係員に注意されてしまった経験があ
る。美術館や博物館の常連さんなら常識とも言うに及ばない当然のルール違反。
何を隠そう、つい作品に手を伸ばしてしまう行為。恐らく常連さんたちは赤面す
るほど、非常識な行為として「素人さんね・・・」と嘲っているだろうなと反省
するのですが。なにしろこの動物的な衝動は本当に困ったもので、高橋由一館で
危うくやっちまいそうになることに。やんなかったけど。先に袋戸棚の「貝図」
の取っ手をつかんだおとーさんが横にいたので、危うくも幸いに己を戒めること
ができた。江戸期と明治期の絵画混迷期といわれた彼の描く西洋画は細密な写実
性と空間美。遠近法と画面いっぱいに描かれる風景画は日本人の美意識が濃く反
映されていて、とても混迷期とはいえない力がある。まい散る桜の花びらに手を
伸ばしてみたり、鱈を持ち上げて釣り下げてみたり。したくなるんだよ。やっぱ


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「鯛」

 しっかし、入ってくる団塊の世代。そろいもそろって「は?」「シャケが無
い」の繰り返し。大量満足、鮮魚市場さながら。あれは、ゲーダイにあるので見
に行ってください。未だにそれが連呼されているんだろうか。「シャケ」いっそ
借りてきちゃえばいいのに。
教科書に載ってたよねー。当分ここの係りでアルバイトしたい。「シャケは?」
「申し訳ございません、只今、鱈と鯛のお取り扱いとなっております。」と丁寧
に対応したい。
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「鱈梅花」







展覧会「金刀比羅宮 書院の美 〜 応挙・若冲・岸岱から田窪まで」開会
表書院
円山応挙「鶴之間」
円山応挙「虎之間」
円山応挙「七賢の間」
円山応挙「上段之間」「山水之間」瀑布古松図 
奥書院
若冲 「花丸図」
岸岱 「水辺柳樹白鷺図」
高橋由一館
「巻布」「左官」「屋上月」「墨田堤の雪」
「本牧海岸」「芝浦夕陽」「なまり節」「鯛」
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「桜花図」
貝図」「豆腐」「牧ヶ原望獄」
墨堤桜花「琴平山遠望図」
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